偏差値70からの大学受験Part1

こんにちは

今日は私が受験生の頃に読んで色々と考えさせられた

 

偏差値70からの大学受験!?ぼく、偏差値大好き

 

というノンフィクションWeb小説を紹介したいと思います。

2004年頃に書かれたもので、私が受験生の頃には結構知名度が高かったHPです。

現在は閉鎖されています。

これについては当時からそうでしたが、タイトルを見て分かる通り、賛否両論あると思います。

私の自己紹介を読んで頂くと分かりますが、私自身とは結構近いところもあります。

学歴社会とは何か

大学受験とは何か

高校生や浪人生に是非読んでいただきたいです。

それに内容がとにかく純粋に面白いです。

こんな面白い文章が書けるようになりたいものです。

 

 


 

 

序章

 

「何のために勉強するのか」

日本で一番腐ったドラマは

「受験」で起きた!

 

 

今、人々は真実に飢えている。ごまかしや虚飾に満ちた、上っ面だけの「理想論」にはもう誰も見向きはしない。

そんな時代の風潮の中、何故か「勉強」だけは未だベ−ルに包まれ、真実は語られない。学歴社会へのバッシング、ゆとりの教育から週休2日制の導入、それに反比例するかのごとく、増え続ける子供への高額な教育費。TV、本、雑誌などのメディアでは、「勉強は個性をつぶす諸悪の根源」だとか、「学力低下をふせぐため、絶対に勉強は必要だ」とか、意見が錯綜を極めている。

これだけ熱く語られている事から分かる様に、「教育」とは世間が相当の関心を寄せている、一つの「大命題」なのであろう。当然だ。親にとっては、我が子の大切な人生である。無視できるはずがない。

日本は未だに学歴社会だ。神話は崩壊を見せているとはいえ、その城壁は揺るがない。

だからこそ世にも腐ったドラマ、それはそんな世界で起きた。「教育」に巻き込まれて起きた。人間が人間としての欲望の原点を追いかけ、日本のトップを果てしなく夢見た男がいた。そのためなら何でもやり、どんどん性根が歪んでいった男がいた。

事実こそ奇なり。これから語る話は実話である。そして誰にでもいつでも起きうるであろう、そんなリアルに溢れたドラマである。

単なる合格体験記とは全く違う、これだけは最初に断っておきましょう。何故ならそのような上等なものとは、これは全く異質な読み物だからである。

そんな世にも腐った世界に、今から少しだけお付き合い願いたい。

 

ある日の事だった。春から教師になる、卒業を控えた大学の先輩が、僕にこう言った。「世の中は偏差値じゃないよ、生徒には自分のやりたい事をやらせなきゃ駄目なんだよ」、と。

その時、僕はあの戦いで培ったアツい思いが、一気に吹き出した。「やりたい事?誰もが遊ぶことって言いますよ。生徒にその区別がつくんですか」、そう強く反論した。彼は何も返せなかった。

 

「そういえば教師って、いつもこんな事言ってたな」、僕はそう思った。もちろんこの意見は素晴らしい。ただこの「理想論」だけが、教育界にはびこることが僕にはたまらなかった。様々な考えがあってこそ、道は開けるはずだ。

自分でも忘れかけていた、あの「ドラマ」が再び蘇ってきた。

あんな異次元の「ドラマ」は、誰も分かってくれないだろう、そう考え封印したつもりだった。しかしその時の僕はアツくなっていた。「異常、だけどそれ故新しい、だから語るべきなんじゃないか」、そう決心した。

この執筆は、そんな単純なきっかけから始まる。

 

誰にも伝えることの無かったこのドラマ」を、初めてここで明かすことにする。

 

その先にある答えは「何のために勉強するか」、もはやこれだけではない。日本で一番腐ったドラマは「受験」でおきた!そしてもう一度言う、これはいつでも誰にでも起きうるそんなリアルと危険をはらんだドラマなのだ!

 

 

 

1、僕は普通の高校生だった。

 

 

僕は普通の高校生だった。

 

よく目にする、「俺は落ちこぼれだった」「ワルだった」とかいうタイプとも、僕は当てはまらず、かといって「僕は天才的に頭が良かった」「全国模擬試験でトップとった」という様なタイプとも、まるで違った。

この時までは、ごくありきたりの高校生だった。本当にどこにでもいる、普通の高校生だった。

この話はここから幕を開ける。

そんな普通の高校生が、大きく変わっていく。

「ワル」や「天才」という様な人なら、高校時代、それよりもっと前から、人生ずっとドラマだ。恋愛、ケンカ、友達、青春、何やっても、彼らはドラマだ。僕はそんな様々なドラマを、「本」や「TV」で見るくらい。そんなのを見ては、「憧れの世界」「非現実」そんなイメ−ジを抱えた。「すげぇな」いつもそう思っていた。

この時まで僕は、「自分もあんな青春してみたい」そう心の中で思っている、いわゆる「フツ−人」だった。しかしまさか僕にも、そんな「ドラマ」が待っているとは、思いもよらないでいた。

そんな僕を大きく変えたのは、「受験」だった。

日本という国では、「受験」は「個性を奪うもの。真の人間性を奪うもの。くだらない。」などと、マイナスイメ−ジで語られることが多い。しかし僕は、そんな「個性を奪う、くだらない」ものによって、初めて自分が他人より一歩抜けだし、「自分が何者であるか」考えることが出来た事は、嘘偽り無い。あくまで僕の人生の大きなタ−ニングポイントは、そんなくだらない「受験」だった。

僕の高校は東京にある私立高校。レベルは中の上と、やはり「普通」の高校だった。

そんな楽しく平和な毎日を送り、平凡であった僕の人生が、ある「大学名」との出会いによって、大きく動き始める。

その名は「国立神戸大学経営学部夜間主コ−ス」、つまり神戸大学二部である。

皆さんはこの名前をご存知だろうか。昼間の神戸大学経営学部といえば、関西の名門国立大学の看板学部であり、英国数3教科偏差値63の難関である。

ただその名門にぶらさがるかの様に、こっそりと「夜間コ−ス」が設置されている。偏差値たった英語1教科で偏差値60。偏差値的に言うと、大体昼間に入学する勉強量の三分の一で済むわけだ。しかも卒業証書には、「神戸大学卒業」としか書かれない。つまり社会的にも、「夜間」であることがバレないのである。

僕はこの話を、当時通っていた塾の担任から聞かされた。忘れもしない、高校3年生の暑い夏の日だった。その時、僕は動揺していた。

中学まで関西に住んでいた僕にとって、「神戸大学」というブランドの輝きは、眩しすぎるものだった。東京で言えば、東大の次に早稲田慶応という様に、関西では京都大の次に神戸大学として、その地位を確立している。親達子供達は誰もが神戸大学に憧れ、近所でも「ダレダレさんの息子さんが受かった」という噂は、瞬く間に広がり、羨望の眼差しで見られた。

「昼間」の神戸大学合格など、今のこんな僕には「夢」の様な話である。

ところが信じられないことに、「夜間」ならば、その栄光を現実的に掴む事が出来る、そう分かったとき、僕の価値観が大きく崩れ始めた。

これから先、何事もなく僕は平凡に人生を送っていくのだと思っていた。ところが目の前に、「エリ−ト」という輝かしい道が現れたのだ。

僕の偏差値は全く平均の50程度。ただ英語1教科くらいだったら、60まで上げるのには無理はない。時間は、あと半年近くある。

一流とは言えない僕の様な「普通」の偏差値で、誰からも尊敬される「一流大学」に合格できる、こんな夢みたいな話があるのだ。僕の心の中で、醜い人生の本音がざわめきだした。

「自分の夢、やりたい事って何だろう」、こんな綺麗事はどうでもいい。

そんな事よりも「最高のブランドを手にして、人からほめられたい」、ただそれだけだった。「神戸大学夜間」、この名前を聞いたとき、僕はそんな本音に気付いてしまった。今だったら、普通の人生から、誰からも羨ましがれる人生へと乗り換えられる。そう考えると、僕はもう何も見えなくなっていた。

「偏差値」も確実にブランドだ。そしてやはり人間、ブランドが大好きなのだ。

「偏差値」ブランドは憧れのまとながらも、バッグや時計などと違って、「偏差値」は金で簡単に買えず、相当の努力をしなくちゃ得られない。だからこそ、みんなだんだん妥協してあきらめていく。努力したくない分、楽したい分、志望の大学を下げていく。

ただ卑屈になれないから、そんな自分を肯定したいから、怪しい「ヤリたいこと」をでっちあげて、「偏差値よりもこの大学を選びました」などと収まるケ−スが多い。

名前を得るためだけに、僕は神戸大学夜間に入学した。付属大学への進学を辞退し、「平凡な人生」を捨てた。

冷静に考えれば、「神戸大学夜間」というのは、数ある夜間大学の中で、偏差値的には日本トップであることは間違いない。もちろん「夜間」での話だが。

つまり「神戸大学夜間」に入ってくる学生というのは、別にそこまで頭が悪いわけではなく、ただそれでも「デキる」という訳ではない。「神戸大学」の名前につられた、偏差値的には「中の上」なものばかりなのだ。だから問題なのだ。

「定時制の高校」なら、正直偏差値的にはそこまで高くない。しかしこの「神戸大学夜間」というのは、「定時」なのに偏差値はそこそこ高いのだ。この「日本トップの夜間」では、様々なコンプレックスに溺れた、とんでもない連中がたくさんいた。それはそういう特殊な環境ゆえなのかもしれない。

 

ついに僕のドラマが幕を開けた。この「日本一の夜間」という特殊な環境が、少しずつ全てを狂わせ始めた。

皮肉なことに、僕の本当の意味での「受験」は、ここから始まったのだ。

 

 

 


 

偏差値70からの大学受験Part2に続きます。

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ABOUTこの記事をかいた人

東大理三を目指して浪人し、東大模試で理三A判定、センター試験本番で93%得点したところまでは良かったが、550点中1.8点差で不合格になり、慶應医学部に進学して、勉強法ブログをずっと書いているどんぐり。 あと英単語・古文単語学習用アプリを作っています。